「妊娠はできるのに流産を繰り返してしまう」
「不育症の検査を受けたけれど異常は見つからなかった」
「次の妊娠も流産になってしまうのではないかと不安になる」
原因不明と言われたけれど、次の妊娠に向けて何かできることはないのだろうか。
こんにちは。不育症のご相談にも実績のある、大阪・梅田の不妊鍼灸専門のSR鍼灸大阪です。
当院には、こうした経緯でご相談に来られる方が少なくありません。
その原因の一つとして近年注目されているのが、子宮内膜の血流異常です。子宮内膜へ十分な血液が届かなければ、着床した胚へ酸素や栄養を届けにくくなり、妊娠の維持に影響する可能性があります。実際に、原因不明の反復流産の方では子宮動脈の血流が低下していたと報告した研究もあります。
この記事では、原因不明の不育症と子宮血流の関係を調べた研究をもとに、次の3つをお伝えします。
- 不育症とは何か
- 原因不明不育症と子宮血流の関係
- 子宮血流に対して鍼灸治療で期待できること
流産を繰り返すことに不安を感じている方や、不育症の検査で異常が見つからなかった方にとって、新しい視点を知るきっかけになれば幸いです。ぜひ最後までご覧ください。
流産にはどんな種類がある?
流産とは、妊娠22週未満で妊娠が終わってしまうことを指します。流産にはいくつかの種類があり、代表的なものは次のとおりです。
- 稽留流産:胎児の発育や心拍が止まっているものの、子宮の中に胎児や胎嚢が残っている状態
- 進行流産:出血や腹痛が起こり、流産が進んでいる状態
- 完全流産:胎児や胎盤などの組織がすべて排出された状態
- 不全流産:組織の一部が子宮の中に残っている状態
- 切迫流産:出血や腹痛はあるものの、妊娠は続いている状態
流産の多くは偶発的に起こるもので、一度の流産だけで不育症と診断されるわけではありません。
原因不明の不育症とは?検査で異常が見つからないケース
不育症とは、「妊娠は成立するものの、流産や死産を繰り返してしまい、生児を得ることができない状態」を指します。日本では一般的に、2回以上の流産・死産を経験した場合に、不育症の検査や治療を検討することがすすめられています。
流産そのものは決して珍しいものではなく、妊娠全体の約15%で起こるとされています。そのうち約50〜80%は胎児側の染色体異常が原因だと報告されています。受精の時点で染色体は決まっているため、多くは偶発的なものです。
ただ、流産を繰り返す場合は、偶然ではなく何らかの要因が関わっている可能性があります。不育症の原因として知られているのは、次のようなものです。
- 胎児・受精卵の染色体異常
- 子宮形態異常(中隔子宮など)
- 抗リン脂質抗体症候群
- 甲状腺機能異常
- 血液凝固異常(プロテインSなど)
- 夫婦いずれかの染色体異常
一方で、不育症の検査を受けても原因が特定できないケースも少なくありません。不育症の方の65.3%では明確な原因が見つからないとされ、「原因不明不育症」と呼ばれています。
参照:不育症研究について|厚生労働省研究班 Fuiku-Labo
原因不明の不育症と子宮内膜の血流の関係
原因不明不育症では、検査をしても明確な異常が見つかりません。
その原因の一つとして近年注目されているのが、子宮の血流の状態です。妊娠を維持するには、子宮内膜へ十分な血液が流れ、胚へ酸素や栄養が届くことが大切です。子宮の血流が低下すると、子宮の中の環境に影響が出る可能性があると考えられています。

ところが、不育症の検査は染色体や免疫、血液凝固の異常などを調べるのが中心で、子宮の血流を詳しく調べる機会は多くありません。そこで、原因不明不育症と子宮血流の関係を調べる研究が進められています。
次にご紹介する研究では、原因不明不育症の方の子宮血流を調べ、健康な女性との違いを検討しています。
原因不明不育症の子宮血流を調べた2024年の研究
この研究では、流産や早産などの経過をたどった妊婦さんほど、子宮へ向かう血管の血流抵抗が高い(血液が流れにくい)傾向がみられました。
特に、子宮内膜へ直接血液を送る「らせん動脈」では、着床期から妊娠20週ごろまでのすべての時期で差がありました。子宮全体に血液を送る「子宮動脈」で差がはっきりしていたのは、着床期と妊娠11〜13週ごろです。
どんな人を対象に、何を調べた?
対象は、原因不明の流産を2回以上経験した妊婦さん174名と、これまで妊娠のトラブルがなかった妊婦さん144名です。着床期から妊娠21週ごろまで子宮の血流を超音波で測り、その後の妊娠経過と照らし合わせました。
研究でわかったこと
妊娠の経過をもとに4つのグループに分けて比べると、血流の状態がよかった順に次のようになりました。
健康な妊婦で経過が順調だった群 > 原因不明不育症で経過が順調だった群 > 経過に問題があった群(健康な妊婦/原因不明不育症)
特に、健康な妊婦さんで経過が順調だった群は血流抵抗がもっとも低く、良好な血流状態を示していました。
着床期(黄体期中期)のらせん動脈のPI値(拍動指数)を並べると、違いがよくわかります。
| グループ | らせん動脈のPI値(着床期) |
|---|---|
| 健康な妊婦で経過が順調(129名) | 0.6 |
| 原因不明不育症で経過が順調(138名) | 0.65 |
| 健康な妊婦で経過に問題あり(15名) | 0.773 |
| 原因不明不育症で経過に問題あり(36名) | 0.764 |
数値が高いほど血流抵抗が高い(血液が流れにくい)ことを示します。
同じ原因不明不育症の方でも、経過が順調だった方は血流抵抗が低く、流産などに至った方は高い。妊娠がうまく続くかどうかに、子宮の血流が関わっている可能性を示す結果です。
不育症や妊娠予後を考えるうえで、子宮内膜への血流環境を整えることは重要な視点の一つかもしれません。
出典:Zhong Y, Wang N, Lu S, Lu Y, Pan X, Zhou Y. Doppler Evaluation of Uterine Blood Flow in Patients with Unexplained Recurrent Pregnancy Loss. International Journal of Women’s Health. 2024;16:1803-1814. doi:10.2147/IJWH.S477828(PubMed)
2024年の研究の詳細(対象・検査方法・数値)
研究者:Yanyu Zhongら
掲載誌:International Journal of Women’s Health 2024 Oct 30;16:1803-1814.
研究期間:2020年1月〜2022年1月
研究の対象
- 20〜40歳の女性
- 原因不明の流産が2回以上ある原因不明不育症の妊婦174名と、不良妊娠歴のない(健康な)妊婦144名
原因不明不育症の群からは、夫婦の染色体異常や子宮形態異常、自己免疫疾患、内分泌異常など、不育症の原因として知られている要因がある方を除いています。
検査の方法
カラードップラー超音波検査で、子宮動脈とらせん動脈の血流状態を評価しました。
- 子宮動脈:子宮全体に血液を送る、比較的大きな血管
- らせん動脈:子宮内膜へ直接血液を供給する細い血管
測定した時期は、黄体期中期(着床期)、妊娠11〜13週、妊娠15〜17週、妊娠19〜21週の4回です。黄体期中期は経膣超音波、妊娠11週以降は経腹超音波で測定しました。
血流の評価には、PI値(拍動指数)、RI値(抵抗指数)、S/D比を使いました。PI値、RI値、S/D比が高くなるほど血管の抵抗が高く、血流が悪い傾向を示します。
グループの分け方
原因不明不育症(URPL)の妊婦174名と健康な妊婦144名の妊娠経過を追跡し、その結果によって次の4つの群に分けました。
| 経過が順調だった群 | 経過に問題があった群※ | |
|---|---|---|
| 原因不明不育症の妊婦 | URPL-N群:138名 | URPL-A群:36名 |
| 健康な妊婦 | CON-N群:129名 | CON-A群:15名 |
※流産、早産、妊娠高血圧症候群、胎児発育不全などを認めた群。CON-A群は、過去に不良妊娠歴がないものの、今回の妊娠でこれらを認めた群です。
研究の結果
原因不明不育症の群、健康な妊婦の群のどちらでも、流産や早産、胎児発育不全などの経過をたどった群では、子宮動脈とらせん動脈のPI、RI、S/D比が高い値を示しました。
4群を比べると、CON-N群 > URPL-N群 > CON-A群とURPL-A群の順に血流状態が良好でした。特にCON-N群(健康な妊婦で経過が順調だった群)は血流抵抗がもっとも低く、良好な血流状態を示していました。
時期ごとの数値は次のとおりです(論文の表をもとに当院で作成)。*は、同じ対象(原因不明不育症どうし、健康な妊婦どうし)で経過が順調だった群と問題があった群のあいだに、統計的に意味のある差があったことを示します。
PI
| 血管(時期) | CON-N | URPL-N | CON-A | URPL-A |
|---|---|---|---|---|
| 子宮動脈(着床期) | 1.82* | 2.164* | 2.191 | 2.56 |
| 子宮動脈(11〜13週) | 1.48* | 1.476* | 1.673 | 1.508 |
| 子宮動脈(15〜17週) | 1.18 | 1.20 | 1.34 | 1.282 |
| 子宮動脈(19〜21週) | 0.86 | 0.89 | 0.91 | 1.00 |
| らせん動脈(着床期) | 0.6* | 0.65* | 0.773 | 0.764 |
| らせん動脈(11〜13週) | 0.55* | 0.527* | 0.603 | 0.56 |
| らせん動脈(15〜17週) | 0.45* | 0.45* | 0.48 | 0.49 |
| らせん動脈(19〜21週) | 0.39* | 0.35* | 0.419 | 0.421 |
RI
| 血管(時期) | CON-N | URPL-N | CON-A | URPL-A |
|---|---|---|---|---|
| 子宮動脈(着床期) | 0.79* | 0.83* | 0.828 | 0.853 |
| 子宮動脈(11〜13週) | 0.70* | 0.71 | 0.726 | 0.725 |
| 子宮動脈(15〜17週) | 0.65 | 0.64 | 0.68 | 0.66 |
| 子宮動脈(19〜21週) | 0.51 | 0.54 | 0.54 | 0.55 |
| らせん動脈(着床期) | 0.43* | 0.45* | 0.53 | 0.513 |
| らせん動脈(11〜13週) | 0.41* | 0.40* | 0.445 | 0.42 |
| らせん動脈(15〜17週) | 0.36* | 0.35* | 0.38 | 0.38 |
| らせん動脈(19〜21週) | 0.31* | 0.28* | 0.318 | 0.330 |
S/D比
| 血管(時期) | CON-N | URPL-N | CON-A | URPL-A |
|---|---|---|---|---|
| 子宮動脈(着床期) | 4.66* | 5.913* | 5.983 | 6.98 |
| 子宮動脈(11〜13週) | 3.65* | 3.47 | 4.471 | 3.73 |
| 子宮動脈(15〜17週) | 2.99 | 2.75* | 2.945 | 3.073 |
| 子宮動脈(19〜21週) | 2.16 | 2.16 | 2.49 | 2.27 |
| らせん動脈(着床期) | 1.68* | 1.80* | 1.994 | 2.085 |
| らせん動脈(11〜13週) | 1.64* | 1.662* | 1.79 | 1.72 |
| らせん動脈(15〜17週) | 1.56* | 1.525* | 1.595 | 1.61 |
| らせん動脈(19〜21週) | 1.46* | 1.41* | 1.49 | 1.49 |
数値は中央値または平均値(論文の表記に準じる)。
子宮内膜の血流不足に鍼灸で期待できること|不育症・妊活中の方へ
では、子宮内膜への血流は整えられるのでしょうか。鍼灸治療は、原因不明不育症の新たな選択肢になる可能性があります。
2019年に発表されたシステマティックレビュー(複数の研究結果をまとめて分析した研究)では、子宮内膜の受容能(胚を受け入れる力)が低下した不妊患者3,041名を対象に、鍼灸治療の効果が検討されました。その結果、鍼灸治療を受けた群では、子宮の血流抵抗を示す指標が有意に低下していました。
- PI(拍動指数):SMD = -2.39(P = 0.001)
- RI(抵抗指数):MD = -0.08(P = 0.01)
- S/D比:SMD = -0.60(P < 0.0001)
PIやRI、S/D比は血流抵抗を示す指標で、数値が低いほど血液が流れやすい状態を意味します。

2019年のメタ解析の詳細
13件のランダム化比較試験(鍼灸群1,508名、対照群1,533名、合計3,041名)を統合して分析した研究です。
- PI:SMD = -2.39(95%信頼区間 -3.85〜-0.93、P = 0.001)
- RI:MD = -0.08(95%信頼区間 -0.15〜-0.02、P = 0.01)
- S/D比:SMD = -0.60(95%信頼区間 -0.89〜-0.30、P < 0.0001)
著者らは、含まれた研究の多くはエビデンスの確実性が「非常に低い」から「低い」の評価であり、より大規模で厳密な研究が必要だとしています。
出典:Zhong Y, et al. Acupuncture in improving endometrial receptivity: a systematic review and meta-analysis. BMC Complementary and Alternative Medicine. 2019;19:61. doi:10.1186/s12906-019-2472-1(PubMed)
また当院の鍼灸治療は、子宮の血流を高めるだけでなく、子宮の緊張をやわらげることも目指しています。当院の総院長が大学と共同研究を行い、SR鍼灸の治療に子宮の緊張を緩和させる効果があると確認しています。

現時点では、鍼灸治療によって不育症が改善すると断定できる状況ではありません。ただ、当院の鍼灸治療は「子宮内膜への血流を良い状態にする」ことと「子宮の緊張を緩和する」ことで、妊娠を維持しやすい身体づくりに役立つ可能性があります。
当院の実績: 不妊鍼灸の効果と実績を見る
まとめ|原因不明の不育症で悩む方へ
不育症は、検査を受けても原因が特定できないことが少なくありません。
「なぜ流産を繰り返してしまうのだろう」
「次の妊娠も同じ結果になってしまうのではないか」
そうした不安を抱えながら治療を続けている方も多いと思います。
今回ご紹介した研究では、流産などの経過をたどった群ほど子宮血流の抵抗が高いことが報告されていました。また、鍼灸治療によって子宮血流の改善が期待できる可能性も示されています。
当院では、病院での治療を大切にしながら、鍼灸治療で子宮や卵巣への血流、自律神経のバランス、身体全体の状態を整え、妊娠を維持しやすい環境づくりをサポートしています。不育症や流産を経験された方の不安な気持ちに寄り添いながら、一人ひとりのお身体の状態に合わせた施術をご提案いたします。

「原因不明と言われたけれど何かできることはないか」
「次の妊娠に向けて身体を整えたい」
そのようにお考えの方は、ぜひ一度SR鍼灸へご相談ください。当院の治療内容は診療項目のページでご紹介しています。
お気軽にお問合わせ・ご相談ください


- 大阪梅田駅から徒歩6分
- 土日・祝日も21時まで診療
- ご予約はWEBから24時間受付
1組様 30分の無料相談を行っております。
不妊鍼灸に関するご相談をLINEから承っております。
LINEでは直前・当日のご予約にも対応しております。
お気軽にお問い合わせください。
※初診時にオプションコースをご希望の場合はLINEからお問い合わせください。



