こんにちは。大阪の不妊治療専門鍼灸院【SR鍼灸】です。
当院には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因で、
「排卵がなかなか起こらずタイミングが取れない」
「採卵で数は取れるけど、凍結できない、グレードが低い」
とお悩みの方が多くご来院されています。
PCOSは卵巣の中でたくさんの卵胞が育ちやすい一方で、ひとつひとつの卵が成熟しにくいという特徴があります。
「質の良い卵が育ちにくい」といった状況が起こりやすくなるのです。
そのため、ホルモンバランスや卵巣環境を整え、卵胞発育の改善・排卵をサポートなど妊娠につながる身体づくりをしていくことが大切となります。
なぜPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は「卵子の質」に影響するのか?
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、
- 月経異常(排卵障害)
- 多嚢胞性卵巣(2〜9mmの小卵胞が12個以上)
- 男性ホルモンが高値またはLH高値
上記の症状がすべて満たす場合に多嚢胞性卵巣症候群と診断されます。
生殖年齢女性の5〜10%の割合で見られる比較的多い疾患です。
ホルモン分泌のアンバランスによって卵が成熟しにくくなり、
- 排卵できない
- 採卵しても卵の成熟率が低い
- 受精や胚発育が進まないことで胚盤胞になりにくい
といった問題が起こりやすくなります。
体外受精で胚盤胞にならない・受精率が低い原因は「卵胞液の酸化ストレス」
PCOSの卵巣では、卵子の質が低下しやすくなる要因がいくつか起こっている可能性があります。
① ホルモンバランスの乱れ
PCOSでは、男性ホルモンが多かったり、インスリンが効きにくくなったりします。
その結果、卵胞が小さいまま止まってしまい、成熟しにくい卵が増えやすくなります。
② 卵胞液の酸化ストレスが高い
卵子の周りにある卵胞液では、PCOSの人ほど酸化ストレスが高まりやすく、卵子の染色体やミトコンドリアに影響し、成熟率や受精率が低下すると報告されています。
参照:Oxidative Stress and Polycystic Ovary Syndrome: A Brief Review
Int J Prev Med. 2019 May 17;10:86.
③卵胞が多すぎる
PCOSの卵巣内では、多数の卵胞が同時に育つことで、ホルモンや栄養などが行き届きにくい可能性があります。そのため、未熟な卵胞や一個あたりの卵子の質が低下することが考えられます。
クリニックで行うPCOS治療の基本|排卵誘発剤とART(体外受精)へのステップアップ
PCOSは「卵胞が育ちにくく排卵しづらい」ことが特徴の体質であるため、治療のポイントは「排卵が起こる環境を整える」ことです。
①BMIのチェックと体重のコントロール
PCOSでBMIが25以上の場合、体重・体脂肪のコントロールが重要となります。(BMI25以上を肥満と定義)
PCOSではインスリン抵抗性(インスリンの効き目)が悪くなりやすいことがわかっています。
そして、脂肪が増えるほどインスリン抵抗性が悪化し、男性ホルモンがさらに分泌されてホルモンバランスの乱れによる卵胞の発育不全や排卵障害などが起こりやすくなります。
参照:Consensus on infertility treatment related to PCOS.
Fertil Steril. 2008;89: 505–522.
② 排卵誘発剤を用いた治療
BMIに問題がなく、排卵しにくいタイプの方や高年齢の女性では排卵誘発剤を使用した治療が選択されることが一般的です。
代表的な薬剤には レトロゾール(フェマーラ) や クロミッド(クロミフェン) があり、これらは卵胞の発育を促し、自然に近い形で排卵を起こします。
クロミッド(クロミフェン)
クロミッドは 抗エストロゲン作用 をもつ薬で、下垂体(脳)を刺激して排卵を促す排卵誘発剤です。
多くのクリニックや産婦人科で第一選択薬として使用されている一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 子宮内膜が薄くなる
- 頚管粘液が減少し、精子が子宮内に入りにくくなる
これらは 長期間連続で服用した場合に起こりやすい副作用とされています。
投与期間や量を適切にコントロールすることで、こうした欠点を補いながら治療を進めることができます。
レトロゾール(フェマーラ)
近年はレトロゾールも排卵誘発剤として多く使われています。
③排卵が起こらない場合は服薬→注射
服薬のみで排卵が起こらない場合は、卵胞の発育に合わせてFSH(卵胞を育てるためのホルモン)製剤を注射していきます。
クロミッドやレトロゾールなどの服薬では間接的にFSHを上昇させて卵胞を育てるのに対して、FSH製剤の注射は直接FSHを上昇させて卵胞を育てるため、PCOSの方は3〜4個以上卵胞が育ちやすくタイミングや人工授精が中止となるケースもあります。
また、卵巣の反応が強すぎるとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクが高まります。
②、③で卵胞が18mm以上に到達した時点で、hCG製剤を投与することで38〜42時間に排卵が起こります。
排卵の時期に合わせて、タイミング法や人工授精を行います。
タイミング法や人工授精を複数回実施して、治療が長引く場合はART(生殖補助医療)に進むことがあります。
④ART(生殖補助医療)にステップアップ
PCOSの方は、卵巣内の卵胞が多いことやホルモンバランスにより排卵誘発(②、③)に反応しづらい・しやすい(両極端)なため、採卵をしても未成熟卵が多くなりやすい・一個当たりの卵子の質が低下して受精率が低い、胚盤胞まで育たず凍結できないなど、採卵成績に課題が出る場合があります。
だからこそ、採卵前の卵巣環境づくりが非常に重要になります。
一部参照:日本産婦人科医会 (2)一般不妊治療
【サプリ・生活習慣】PCOSの卵巣環境を整え、卵子の質を高めるセルフケア
PCOSは”排卵を起こす”だけでなく、卵巣の環境や卵子の質を改善していくことで、妊娠しやすい体づくりをサポートできる可能性があります。
ここからは、PCOSの方が取り入れたい
- サプリメント
- 鍼灸でできるサポート
- 生活習慣
について、具体的に解説していきます。
PCOSにおすすめのサプリメント
イノシトール
インスリンの働きをサポートし、男性ホルモンの過剰分泌を抑えてホルモンバランスが整うことで、排卵率や胚の質が向上したという報告もあります。
ただし、最近の研究やガイドラインでは、妊娠率や出産率が確実に上がるとまでは言えないとされています。
そのため、イノシトールは妊娠しやすい体質づくりをサポートする補助的なサプリとして取り入れる価値があります。
参照:Effectiveness of Omega-3 fatty acid for polycystic ovary syndrome: a systematic review and meta-analysis
2018 Mar 27;16:27.
doi: 10.1186s12958-018-0346-x
オメガ3脂肪酸(DHA、EPA)
オメガ3は青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸で、妊活以外でも健康効果が広く研究されている栄養素です。
PCOSの患者さんがオメガ3を摂取することで、次のような改善が報告されています。
- 中性脂肪の低下
PCOSで高くなりやすい脂質異常を改善できる可能性があります。 - インスリンの効き目を向上(抵抗性↓)
PCOSの根本にあるインスリン抵抗性の改善が期待できます。 - 総コレステロールの低下
優位に低下傾向があり、動脈硬化予防の観点からも効果が期待されています。
ただし、男性ホルモン値の改善や月経周期、排卵率は結論づけられませんでした。
そのため、イノシトールと同様に補助的なサプリとして取り入れる価値はあります。
また、サプリだけでなく、普段の食事から魚の摂取を意識してみましょう。
参照:Effectiveness of Omega-3 fatty acid for polycystic ovary syndrome: a systematic review and meta-analysis
2018 Mar 27;16:27.
doi: 10.1186s12958-018-0346-x
レスベラトロール
レスベラトロールは、ブドウやナッツ、ベリー類に多く含まれているポリフェノールの一種で、抗酸化・抗炎症作用を持つことから、PCOSに対する補助的な治療効果が期待されています。
PCOSの患者さんがレスベラトロールを摂取することで、次のような改善が報告されています。
- 総テストステロンの低下
プラセボ群(レスベラトロールを摂取していないグループ)と比較して優位に低下傾向がありました。 - LH(黄体形成ホルモン)の低下
PCOSで高くなりやすいLHを低下させることで、卵胞の発育が期待できます。
一方で、
- 妊娠率
- 脂質異常(コレステロール・中性脂肪)
- インスリンの効き目(抵抗性)
といった臨床的な効果の改善については明確なエビデンスが示されていません。
そのため、レスベラトロール単独での使用より、生活習慣の改善やクリニックでの治療と併用する補助的なサポートとして取り入れるのが現実的です。
また、レスベラトロールは、成熟卵子の獲得率や受精率、良好胚獲得率が向上する可能性がある一方で、子宮内膜の脱落膜化を抑制し着床を阻害する可能性があるため、胚移植時には摂取を抑えた方が良いとの報告もあります。(2)
治療状況に応じて主治医と相談しながら進めることが推奨されます。
参照:(1)Efficacy of resveratrol in women with polycystic ovary syndrome: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials
2023 Mar 16;44:134.
doi: 10.11604/pamj.2023.44.134.32404
(2)The actions of resveratrol in decidualizing endometrium:acceleration or inhibition?.Biol Reprod 2020;103:1152-6
サプリのまとめ
上記で紹介したサプリメントの効果には個人差があり、あくまで補助的なサポートです。
まずは、生活習慣の改善(食事・睡眠・運動)やクリニックなどの治療を土台にしたうえで取り入れることが大切です。
また、サプリの種類や用量についてご不安があれば、担当の医師と相談しながら進めることをおすすめします。
治療状況や体質に合わせて選ぶことが、安全でより効果的です。
【最新研究(2024年)】PCOSの臨床妊娠率を上げる鍼灸治療の「頻度」と「刺激量」
この研究は、
「鍼治療の量(頻度、刺激強度、使用するツボ)によって妊娠成績に差が出るのか?」
を明らかにすることを目的としたものです。
従来の研究は「鍼治療 vs 無治療(偽鍼)」で比較していましたが、今回の研究ではさらに踏み込んで
- 週に何回治療したか(頻度)
- 鍼を刺す場所の量(治療部位の量)
- 電気鍼(通電)などの強い刺激量(刺激強度)
- 鍼の継続期間(治療期間)
といった鍼治療の質と量を総合的に評価して以下のように研究をスコア化してまとめました。
また、対象となる研究は12件のうち953人の体外受精を受けている方が対象となりました。
低い刺激量のグループ 2件(Low dose)
頻度:週1回以下
治療部位:6〜8箇所(鍼を刺す場所は少ない)
刺激量:弱刺激
治療期間:採卵の前のみ短期間
中程度の刺激量のグループ 4件(Medium dose)
頻度:週1〜2回
治療部位:6〜10箇所
治療期間:1ヶ月以上
高い刺激量のグループ 6件 (High dose)
頻度:週2〜3回以上
治療部位:10〜15箇所
刺激量:通電などの中〜高刺激 治療期間:2〜3ヶ月以上
研究結果
この研究では、「高い刺激量のグループ」の臨床妊娠率が有意に上昇した傾向が確認されました。
一方で、「低い刺激量のグループ」では臨床妊娠率の改善傾向はありませんでした。
鍼治療の効果
鍼治療の効果は過去のブログにも掲載しておりますので合わせてご覧ください。


まとめ
PCOSの方に対する鍼治療は、受ける・受けないで効果が決まるわけではありません。
最新の研究では、
- 治療頻度
- 治療部位
- 刺激量
- 治療期間
といった「治療の量」が妊娠成績に大きく影響する可能性が示されています。
ただし、これは「週1回では妊娠しない」という意味ではありません。
週1回の通院でも、刺激量を調整し患者さまの周期に合わせた治療を提案することが可能です。一人ひとりに合わせた治療・通院計画を立て、妊娠に向けた最善のサポートを心身ともに行なっていきます。
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