こんにちは。大阪の不妊専門鍼灸院【SR鍼灸】です。
当院には「胚盤胞を凍結できない」「胚盤胞のグレードが低い」「着床前診断(PGT-A)で正常胚が獲得できない」といった採卵に関するお悩みでご来院される方が多くいらっしゃいます。
生殖補助医療(ART)が保険適応となり治療件数は増加していますが、体への負担が大きく保険にも制限があります。そのため、できる限り少ない回数で結果を出したいとお考えの方がほとんどです。
卵子は年齢とともに質が低下し、染色体異常の確率も上昇することが知られています。
そのカギを握るのが「卵胞周囲の血管量」です。血管が多いほど卵胞に十分な酸素が供給され、質の良い卵子が育ちます。この血管の新生には、VEGF(血管内皮増殖因子)という物質が重要な役割を果たしています。
この記事では、卵巣血流と卵子の質の関係を示した海外研究論文をもとに、受精率が73%から90%に向上したメカニズムを詳しく解説します。
採卵結果にお悩みの方や、胚盤胞のグレード向上を目指す方にとって、科学的根拠に基づいた具体的な改善アプローチを知ることができる内容となっています。
ぜひ最後までご覧ください。
【解説】卵子の質を左右する鍵「VEGF(血管内皮増殖因子)」とは?
VEGFは「血管内皮増殖因子」と呼ばれ、新しい血管をつくり出す重要な物質です。卵胞の発育においても中心的な役割を果たし、卵胞形成の初期段階から排卵直前まで、卵子の成熟と発育を支えています。
特に注目すべきは、卵胞内の酸素濃度とVEGFの密接な関係です。
研究により以下のことが明らかになっています。
酸素不足の環境(卵胞液内酸素含有量3%未満)
- 卵子の紡錘体(染色体分配の重要な構造)に異常が発生
- 細胞質構造や染色体にも多くの問題が生じる
酸素豊富な環境(卵胞液内酸素含有量3%以上)
- 質の良い卵胞が順調に発育
- VEGF量が一貫して高いレベルを維持
つまり、VEGFが十分にあることで血流が改善し、卵胞に酸素がしっかり供給されることが、健康な卵子の発育には欠かせないのです。
卵巣の血流と妊娠率の関係を示した海外の研究
VEGFと卵巣血流が実際の妊娠率にどう影響するのか、体外受精を受けている患者さんを対象とした重要な研究をご紹介します。
研究者:Patrizia Monteleone博士ら
掲載誌:J Assist Reprod Genet(生殖医学の国際的学術誌)
研究期間:2006年1月〜2007年1月
ページURL:Patrizia Monteleone et al. J Assist Reprod Genet,2008 May 1;25(5):183–186. doi: 10.1007/s10815-008-9218-1
研究対象者
- 35歳未満の女性
- 男性因子・卵管因子による不妊の方
- 卵巣刺激で卵胞が3個以上発育する方
治療方法
- 前周期にピルで調整
- ゴナールで卵巣刺激開始
- 卵胞14mmでセトロタイド(排卵抑制)
- 卵胞18mmでオビドレル注射
- 36時間後に採卵実施
- 体外受精または顕微授精後、胚移植
血管量による分類
研究では、卵胞周囲の血管量を超音波で測定し、以下の4グループに分類しました:
- F1グループ:血管量25%未満
- F2グループ:血管量26〜50%
- F3グループ:血管量51〜75%
- F4グループ:血管量76〜100%
この分類により、血管量と治療成績の関係を詳細に分析しています。
研究結果|血流豊富な卵胞は、受精率・妊娠率ともに高いという明確な差

研究の結果、卵胞周囲の血管量とVEGF濃度には明確な相関関係があり、血流の豊富さが治療成績に大きく影響することが判明しました。
分析対象
- 総卵胞数:244個(研究対象者61人)
- F1:46個、F2:74個、F3:60個、F4:64個
- 低血流グループ(F1/F2):120個の卵胞
- 高血流グループ(F3/F4):124個の卵胞
結果の違い
F1/F2 | F3/F4 | |
---|---|---|
年齢 | 33.3±0.65 | 33.3±1.67 |
卵胞の数 | 120 | 124 |
成熟卵 | 80.0% | 84.2% |
受精率 | 73.6% | 90.0% |
Aグレードの胚 | 41.0% | 64.7% |
胚移植1回あたりの妊娠率 | 21.1% | 37.5% |
顕微授精の割合 | 30.0% | 37.5% |
高グレード(F3/F4)の方が受精率、胚の質(グレードA)、胚移植1回あたりの妊娠率で高い結果(有意差あり)となりました。また、高グレード(F3/F4)は異常受精(3PN)もありませんでした。
1. 受精率の向上
血流豊富な卵胞では、受精率が73.6%から90.0%に改善
2. 良質胚の獲得率向上
Aグレードの良質な胚の割合が41.0%から64.7%に向上
3. 妊娠率の向上
1回の胚移植あたりの妊娠率が21.1%から37.5%に向上
4. 異常受精の発生
高血流グループでは異常受精(3PN)は発生しませんでした
これらの結果は統計的にも有意差があり、卵巣血流の改善が治療成績の向上と関連していることが示されています。
まとめ|鍼灸による血流改善が、卵子の質を高める一手になる
今回ご紹介した研究から、卵子の質向上には卵巣血流の改善が欠かせないことが明らかになりました。
卵子の質改善の鍵は「血流」
質の良い卵子を育てるには以下の条件が有効だとこの研究から分かります。
- 卵母細胞への十分な血流確保
- 卵胞内酸素濃度の向上(3%以上)
- VEGFの活発な発現による血管新生
これらすべてが「血流の改善」によって実現できるのです。
鍼灸治療の科学的な意義
鍼灸には卵巣血流を増加させる作用が確認されており、継続的な治療により以下の効果が期待できます。
- VEGFの発現促進
- 卵胞周囲の血管新生
- 卵胞内酸素濃度の上昇
- ホルモンバランスの改善
- 栄養素の効率的な供給
採卵成績でお悩みの方へ
「胚盤胞まで育たない」「グレードの良い卵子が取れない」というお悩みは、卵巣血流の改善によって解決できる可能性があります。
科学的根拠に基づいた鍼灸治療で、あなたの卵子の質を向上させ、妊娠への道筋を明確にしていきませんか?
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