着床率を上げるには?胚移植前に確認したい5つのポイント

「良好胚を移植したのに、着床しなかった」

「次の移植までに、自分でできることはないだろうか」

「子宮内膜を厚くすれば、着床率は上がるのだろうか」

胚移植を経験した方の中には、このような疑問や不安を抱える方も少なくありません。結果が出なかった理由を探すうちに、食事や運動、安静の仕方など、日常生活の一つひとつが気になってしまうこともあるでしょう。

しかし、着床率は何か一つを変えれば必ず上がるものではありません。胚の状態、子宮内膜や子宮の環境、移植周期、医療機関で確認される要因など、複数の条件が関係します。

この記事では、「着床率を上げる方法」を断定的に紹介するのではなく、次の移植に向けて何を確認すればよいのかを5つの観点から整理します。ご自身の状況を振り返り、主治医へ相談することと、病院での治療と並行してできることを見分けるための参考にしてください。

目次

着床率は何で決まる?胚移植で着床に関わる5つの要因

着床とは、胚が子宮内膜に接着し、その後の妊娠へつながっていく過程です。胚移植では、胚を子宮へ戻したからといって、すべての胚が着床するわけではありません。

着床に関係する要因は、大きく次のように整理できます。

  • 胚側の条件
  • 子宮内膜の厚さや子宮内の環境
  • 自然周期・ホルモン補充周期などの移植条件
  • 子宮や全身について医療機関で確認される要因
  • 移植前後の生活と全身状態

SR鍼灸では

まず患者さまの年齢や移植する胚の発育段階(初期胚・胚盤胞)、これまでの移植回数などを確認します。

患者さまが胚移植1回あたりの妊娠率を実際よりも高く想定されていることもあるため、日本産科婦人科学会が公表しているデータなどを参考に、実際の妊娠率をお伝えしています。患者さまが想定されている妊娠率と実際のデータとのギャップを減らし、治療の見通しを理解していただくことを大切にしています。

そのうえで、胚のグレードや子宮内膜の厚さ、TORIO検査の結果、採血によるホルモン値など、クリニックでの検査結果やこれまでの治療経過について詳しくお伺いします。

これらの情報をもとに、現在どのような課題が考えられるのかを整理し、病院での治療と並行して、鍼灸でどのようなサポートが期待できるのかを患者さま一人ひとりの状況に合わせてお伝えしています。

大切なのは、一つの要因だけを原因と決めつけないことです。検査結果や治療歴を含めて全体を確認し、次の移植に向けて何ができるのかを一緒に考えていきます。

① 胚の状態|胚盤胞のグレードと着床率の関係

着床率を考えるうえで、まず関係するのが胚の状態です。胚のグレードは、成長の進み方や細胞の見え方などをもとに評価されます。一般的には良好と評価された胚ほど着床が期待されますが、グレードだけで結果が決まるわけではありません。

見た目の評価が良好な胚であっても、必ず着床するとは限りません。また、年齢によって胚の状態や妊娠の見通しが変わることもあります。胚について分からない点がある場合は、グレードの意味やこれまでの培養結果を、治療を受けている医療機関へ確認しましょう。

移植を終えたあとに胚そのものを変えることはできません。だからこそ、「良好胚だったのに着床しなかった=自分の過ごし方が悪かった」と考えず、次に子宮側や移植条件を確認していくことが大切です。

SR鍼灸では

胚のグレードだけで一喜一憂せず、見た目の評価だけでは分からない部分があることも患者さまにお伝えしています。

例えば、人も見た目だけでは、その人のすべてを判断することはできませんよね。胚も同じように、形態的な評価だけでは分からない部分があります。

胚の染色体の状態も妊娠の成立に関わる重要な要素であり、見た目の評価が良好であっても、必ずしも着床につながるとは限りません。そのため、胚のグレードだけにとらわれず、移植に臨んでいただくことを大切にしています。

一方で、着床を考えるうえでは、胚側だけでなく、胚を受け入れる子宮側の環境にも目を向ける必要があります。

子宮内膜の厚さについて説明する際には、ベッドやマットレスに例えることがあります。例えば、厚みがあり、柔らかく寝心地のよいマットレスと、薄い敷布団では、寝心地に違いを感じますよね。

子宮内膜も、胚が着床するための大切な場所です。内膜の厚さは着床率や妊娠率と関連することが報告されており、胚を受け入れる環境を考えるうえで重要な指標の一つとなります。ただし、厚さだけで着床の可否が決まるものでもありません。

すでに凍結胚があり、次の胚移植に向けて鍼灸を受けようと考える患者さまもいらっしゃいます。

そのような患者さまに対して、私たちが大切にしているのは、今ある凍結胚に自信を持ち、前向きな気持ちで移植に臨んでいただけるようサポートすることです。

胚のグレードだけにとらわれるのではなく、これまでの治療経過や子宮内膜の状態なども確認しながら、一人ひとりの状況に合わせて、鍼灸でどのようなサポートができるのかをお伝えしています。

病院での検査や治療を大切にしながら、子宮内環境を整えるための身体づくりをサポートし、患者さまが安心して次の移植に臨めるよう、一緒に考えていくことを心がけています。

② 子宮内膜の厚さ・子宮環境と着床

子宮内膜は胚が着床する場所です。胚移植前には超音波検査などで内膜の厚さを確認し、移植できる状態かどうかを医療機関が判断します。必要とされる厚さの目安は治療方法や医療機関によって異なるため、一つの数値だけで判断することはできません。

子宮内膜の厚さと妊娠・出生の結果には関連が報告されていますが、「厚ければ厚いほどよい」と単純に考えることもできません。内膜の状態は、使用している薬、ホルモン環境、子宮の状態などとあわせて確認する必要があります。

内膜が薄いと言われている場合は、過去の周期で何mmだったか、どの時点で測定したか、薬を変更したときに変化があったかなどを整理して主治医へ相談するとよいでしょう。

SR鍼灸では

これまでの治療経過を詳しくお伺いし、子宮内膜の厚さがどのように変化してきたかを確認します。

また、流産手術の既往や、これまでに使用されてきた薬、ホルモン値の推移なども踏まえながら、お一人おひとりの治療経過や状態に合わせたケアを行います。

子宮血流や子宮の緊張緩和などに着目し、移植に向けた身体づくりをサポートしています。

患者さまからは、「移植日当日に子宮内膜が薄くなっていたけれど、大丈夫でしょうか?」といったご相談をいただくこともあります。

子宮内膜の厚さは、測定するタイミングや測定方法などによって評価が変わることがあります。そのため、移植日に測定値が変化していたからといって、その数値だけで妊娠の可能性を判断することはできません。

また、胚移植の時期には、子宮内膜が一時的に薄くなる「コンパクション」と呼ばれる変化がみられることがあります。

ただし、コンパクションがみられること自体が、必ずしも良好な妊娠結果を意味するわけではありません。内膜の厚さや変化について気になることがあれば、測定結果やホルモン環境なども踏まえ、主治医に確認することが大切です。

大切なのは、内膜の厚さという一つの数値だけで判断せず、これまでの治療経過やホルモン環境、内膜の変化などを総合的に確認することです。

SR鍼灸では、患者さまの疑問や不安にも丁寧に向き合いながら、主治医による診察・治療を大切にし、移植に向けた身体づくりをサポートしていきます。

③ 自然周期とホルモン補充周期|移植方法で着床率は変わる?

凍結胚移植には主に、ご自身の排卵に合わせる自然周期と、薬で子宮内膜を整えるホルモン補充周期があります。どちらにも特徴があり、すべての方に共通する「こちらの方がよい」という方法があるわけではありません。

排卵の状態、これまでの治療歴、通院できる日程、使用する薬への反応などを考慮し、医療機関と相談しながら選択します。

前回と異なる方法を提案されたときは、「なぜ今回はこの周期なのか」「これまでの結果を踏まえて何を変えるのか」を確認すると治療方針を理解しやすくなります。

SR鍼灸では

移植方法について悩まれる方は多いです。

自然周期とホルモン補充周期の違いは、排卵するかしないかです。「自然周期なのに薬を使うのですか?」と質問を受けることがあり、自然周期=薬を使わないと思っている方が意外に多くいらっしゃいます。

自然周期においても、必要に応じてホルモン剤の処方はあります。ただ、ご自身の体からもホルモンは分泌されているため、比較的少ない容量で済みます。

また、当院では移植に適した着床環境を準備するためのケアを行なっております。

ホルモン補充周期においては、エストロゲン製剤によって内膜の成長を促します。そのため、鍼灸では子宮の血流や子宮内環境にアプローチし、内膜が成長しやすい環境づくりを意識しています。

自然周期においては、卵胞から分泌されるエストロゲンによって内膜が厚くなっていきます。そのため、自然周期では卵巣の血流にもアプローチし、卵胞の発育をサポートすることを意識しています。

鍼灸院が移植方法を決めることはできませんが、当院では患者さんの迷いや悩みに対して、主治医の説明も踏まえてアドバイスや体づくりを提供しています。

④ 移植を繰り返しても着床しないとき(反復着床不成功)に確認されること

良好と評価された胚を移植しても妊娠に至らないことが続く場合、医療機関ではこれまでの胚の状態や移植条件に加え、子宮内の状態などをあらためて確認することがあります。

確認されることがある例

  • 子宮筋腫や子宮内膜ポリープなど、子宮内の形に関わるもの
  • 子宮腺筋症、卵管水腫、慢性子宮内膜炎など、着床に影響する可能性が検討されるもの
  • ホルモンの状態やこれまでの移植条件

ただし、「着床しなかったから、すべての検査を受けた方がよい」という意味ではありません。反復着床不成功には一律の定義がなく、検査や治療の中には有効性が十分に確認されていないものもあります。年齢、移植した胚の数や状態、これまでの治療歴などを踏まえ、個別に判断することが重要です。

まずは主治医に、これまでの結果から何が考えられるか、追加で確認する必要があるかを相談してください。

医療機関で確認すべき原因を、鍼灸だけで解決しようとしないことも大切です。

SR鍼灸では

良好胚の移植を2〜3回実施しても陰性で、かつ医師からTORIO検査を勧められていない場合は、TORIO検査やCD138検査(慢性子宮内膜炎)の概要を患者さまにお伝えしています。

※子宮鏡検査を実施して炎症の所見がない場合は、CD138検査は積極的には推奨していません。

着床の時期がずれている場合や、慢性子宮内膜炎やポリープなどがあり、病院で適切な処置が必要となるケースもあります。

また、高年齢(38〜40歳以上)で流産の経験が2回以上ある場合は、PGT-Aについてお話ししています。

PGT-Aの見解に関しては医師や施設によって考えも異なるため、最終的な判断は医師と相談して決めてもらっています。

※PGT-Aは保険適用外になるため、保険の残りが少ない方や自費で治療されている方にお話ししています。

⑤ 着床率を上げる食べ物や過ごし方はある?移植前後の生活

移植後は「できるだけ動かない方がよいのでは」と不安になる方もいます。しかし、医師から個別の指示がない限り、胚移植後に長時間の安静を続ける必要はないとされています。移植後のベッド上安静によって、妊娠・出産の結果が良くなるとは確認されていません。

仕事、運動、入浴については、体調に問題がなく、医療機関から特別な指示を受けていなければ、基本的には普段に近い生活を送ります。ただし、強い痛みや出血がある場合、採卵後で卵巣の腫れがある場合などは対応が異なります。ご自身の治療状況に応じた注意点は、必ず主治医へ確認してください。

食事や睡眠については、特定の食べ物だけで着床率を上げることはできません。食事のバランスを整える、十分な睡眠をとる、喫煙を避けるなどは、妊活中の一般的な健康管理として考えます。「着床のために何か特別なことをしなければ」と過度に制限する必要はありません。

SR鍼灸では

移植前はなるべく普段通りに過ごしていただくようお伝えしています。

着床に良いとされる食べ物や行動を意識しすぎることで、かえってストレスや負担につながる可能性があります。

そのため、特定の食べ物や行動にとらわれすぎず、過度に心配せずに過ごしていただくことを大切にしています。

移植後は、過度な安静、重量を扱う運動やランニングは控えてほしいと伝えています。

また、移植後の過ごし方の説明で意識していることは、判定結果が陰性の場合や妊娠中のトラブルがあった時に、「移植後に〇〇をしてしまったから」と自分を責めてしまう要因を増やさないことです。そのためにも気をつけてほしいとお伝えしています。

食事に関しては、ビタミンAの過剰摂取は赤ちゃんの先天性異常のリスクが高まる可能性があることを伝えています。

また、化粧品や美容液に含まれているレチノールも、妊娠中は控えることを伝えています。

参照:「ビタミンAの過剰摂取による影響」|食品安全委員会

鍼灸で着床に向けてできること|子宮血流と子宮の緊張へのアプローチ

ここまで見てきたように、着床には複数の要因が関係します。

鍼灸は胚の状態を変えたり、子宮の病変を診断・治療したりするものではなく、医療機関での検査や治療に代わるものでもありません。そのうえで、病院での治療と並行しながら、移植に向けた身体の状態を整えたいと考えて鍼灸を利用する方がいます。

この章では、SR鍼灸がどこへ着目し、どの時期から、どのような目的で施術を行っているのかを具体的に説明します。

当院の鍼灸治療では、子宮の緊張を緩和する作用が示されていることから、胚移植前後を挟むように通院していただくことをご案内しています。

鍼刺激の前と直後、その後で子宮収縮の程度を比べたグラフ
図:鍼刺激の前後で子宮収縮を測定した結果。総院長が明治国際医療大学大学院在学中に行った研究。

また、子宮内膜が厚くなりにくい方や、良好胚を移植しても妊娠に至らない方からのご相談も多くいただいています。そのような方には、移植前から継続的にケアを受けていただくことで子宮の血流や緊張に働きかけ、子宮内膜の状態や着床に関わる子宮内環境を整えるためのサポートを行っています。

胚盤胞移植1回あたりの着床率を、病院・クリニックの平均とSR鍼灸の移植治療を併用した場合で年齢別に比べたグラフ
図:胚盤胞移植1回あたりの着床率。折れ線は日本産科婦人科学会の調査による病院・クリニックの着床率、棒グラフはSR鍼灸の移植治療を併用した方の着床率。

当院には、移植周期に入っている方や次の周期に移植を予定されている方など、さまざまな時期にご相談いただくことも多くあります。その場合にも移植までにできることをしっかりと説明し、患者さまに合わせた施術プランや施術頻度をご提案しています。

当院の実績: 不妊鍼灸の効果と実績を見る

次の移植に向けた準備について、LINEで相談する

着床率を上げたい方へ|まず何を確認すればいい?

着床率を上げるために、すべての方へ共通する一つの方法があるわけではありません。大切なのは、ご自身がどの段階で困っているのかを整理し、必要な相談先につなげることです。

  • 良好胚を移植しても結果が出ないことが続いている:これまでの胚・移植条件・子宮側の確認について主治医へ相談する
  • 子宮内膜が薄いと言われている:内膜の測定時期や過去の変化を整理し、子宮内膜の記事も参考にする
  • 自然周期とホルモン補充周期で迷っている:方法を選んだ理由を医療機関へ確認する
  • 移植前後の生活が不安:特別な制限を増やす前に、主治医の指示と既存の解説記事を確認する
  • 病院の治療と並行してできることを探している:鍼灸で支援できる範囲を確認したうえで相談する

一度の移植結果だけで、ご自身の努力が足りなかったと考える必要はありません。分からないことを整理し、医療機関と相談しながら、次の移植へ向けた準備を進めていきましょう。

次の移植に向けた身体づくりを相談したい方へ

SR鍼灸では、病院での治療状況を伺いながら、移植に向けた身体づくりについてご相談を承っています。今の状況で鍼灸を取り入れられるか知りたい方は、まずはLINEでご相談ください。施術を希望される方は、WEBから初回予約ができます。

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参考資料:ESHRE「反復着床不成功(RIF)に関する Good Practice Recommendations」/ASRM「Performing the embryo transfer: a guideline」

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