精索静脈瘤と診断された方へ。手術以外の選択肢と鍼灸による精子改善の可能性

精索静脈瘤と診断されて、手術を勧められたけどグレード1で適応外だった。

手術を受けたのに、精液検査の数値が変わらない。

漢方やサプリも試したけど、このまま続けて意味があるのかわからない。

手術以外に、できることはないのか…

こんにちは。男性不妊にも実績のある、大阪・梅田の不妊鍼灸専門のSR鍼灸大阪です。

当院には、こうした経緯でご相談に来られる方が少なくありません。

精索静脈瘤は男性不妊の原因として頻度が高く、造精機能障害の約36.6%を占めるとされています。

しかし、グレードや状態によっては手術だけでは十分な改善が得られないケースもあります。

この記事では、精索静脈瘤がなぜ精子に影響するのか、 そして鍼灸で何ができるのかを、研究データとともにお伝えします。

精索静脈瘤の基礎知識

精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)とは、精巣から心臓へ血液を戻す静脈(精索静脈)に逆流が起こり、陰嚢内の静脈が怒張・鬱滞した状態を指します。陰嚢内に起こる「静脈瘤(血管のこぶ)」のようなものです。

男性不妊の約30〜40%に精索静脈瘤が認められるとの報告があり、決して珍しい所見ではありません。ただし、精索静脈瘤が必ずしも造精機能の低下を起こすわけではなく、他の因子が関与するケースも多いため、個別の評価が重要です。

関連記事: 精子の運動率を改善するには?造精機能低下の原因と鍼灸+サプリのエビデンス(造精機能障害について詳しく解説しています)

精索静脈瘤の原因

通常、精索静脈には血液の逆流を防ぐための弁(静脈弁)が備わっています。しかし、静脈弁の働きが弱く血流が悪いと逆流が起こり、陰嚢内の静脈に血液が滞って血管が怒張することで精索静脈瘤が生じます。

なぜ左側に多いのか

精索静脈瘤の約80〜90%は左側に発生するといわれています。これは解剖学的に、左の精索静脈は左の腎静脈に直角に流れることで血液の渋滞が起こりやすいという特徴があるためです。

精索静脈瘤の症状

精索静脈瘤は無症状のことが多いのが特徴です。一方で、次のような症状がみられる場合もあります。

  • 陰嚢の違和感・重だるさ
  • 長時間の立位での不快感
  • 陰嚢の腫れ・痛み
  • 精液所見の低下(自覚症状なしで指摘されることも)

特に不妊治療での検査をきっかけに見つかるケースは少なくありません。

目次

精索静脈瘤はなぜ精子に影響するのか

精索静脈瘤では、精巣周囲の血液循環が乱れることで、造精機能にさまざまな影響が及ぶと考えられています。現在、主に次の3つのメカニズムが提唱されています。

① 精巣温度の上昇(熱ストレス)

精巣は体温より約2〜4℃低い温度に保たれることで、正常に精子が作られるとされています。精索静脈瘤では静脈の逆流や鬱滞によって陰嚢内に血液が滞り、精巣周囲の温度が上昇する可能性があります。この熱ストレスが、造精機能の低下に関与すると考えられています。

酸化ストレスの増加

精巣周囲の血流障害によって活性酸素(ROS)が増加することが報告されています。活性酸素が過剰になると、精子のDNA損傷や運動率の低下などが起こり、精液所見の悪化につながる可能性があります。

③ 精巣血流の障害

静脈の鬱滞によって精巣への酸素供給が低下し、精子形成を行う精細管の機能に影響する可能性があります。

これらの中でも、精巣温度の上昇(熱ストレス)は特に重要な要因の一つと考えられており、2025年に発表された研究でも陰嚢温度と精液所見の関連が報告されています。

研究の詳細:精索静脈瘤と陰嚢温度・精液所見の関係

研究の概要

2025年に発表された症例報告で、精索静脈瘤患者における陰嚢皮膚温度と精液所見の時間的変化の関連が検討されています。

研究者:Yohei Kaizuka ら 掲載誌:Cureus. 2025 Feb 15;17(2):e79047. DOI: 10.7759/cureus.79047
https://www.cureus.com/articles/335408-correlation-between-semen-quality-and-bilateral-scrotal-skin-temperature-shown-in-the-chronological-results-of-two-patients-with-left-sided-varicocele#!

対象と評価方法

対象:左側精索静脈瘤の男性2名

評価指標:TMSC(総運動精子数)= 液量 × 濃度 × 運動率

測定方法:赤外線サーモグラフィで陰嚢皮膚温度(SST)を測定。室温20〜22℃、安静条件下で統一された方法により実施。左右の温度差(ΔSST = 左SST − 右SST)を指標としています。

症例1の結果

経過日数左側SST(℃)右側SST(℃)ΔSST(℃)TMSC(×10⁶)
131.027.83.233.1
9032.130.81.355.4
18029.729.8-0.160.0
27031.032.0-1.041.9
30031.632.8-1.227.9

初期には左側のSSTのみ高温でしたが、経過とともに右側のSSTも上昇し、最終的には両側とも高温となりました。これに伴い、TMSC(総運動精子数)の低下が認められました。

著者らは、ΔSSTの低下は左SSTの温度低下によるものではなく、右SSTの上昇による可能性を指摘しています。また、左側精索静脈瘤であっても、時間の経過とともに両側の精巣に熱ストレスが及び、造精機能低下に関与する可能性が示唆されると考察しています。

症例2の結果

経過日数左側SST(℃)右側SST(℃)ΔSST(℃)TMSC(×10⁶)
133.131.51.647.7
9032.129.72.454.0
27033.729.74.076.3
30032.128.83.393.1
36031.230.70.5109.9
39032.227.84.4126.7
78031.430.21.285.3
81033.032.40.643.9
99030.730.00.746.5
1,17032.930.32.6164.8

初期にはΔSSTは軽度の左右差を示していましたが、経過中に静脈瘤所見はGrade 1からsubclinical(無症状・不顕性)へと軽減しました。それに伴い、TMSC(総運動精子数)は経時的に改善し、最終的には大きな増加が認められました。

著者らは、静脈瘤所見の軽減および陰嚢皮膚温の動態変化が、造精機能の改善と並行していた可能性を指摘しています。一方で、本症例は保存的経過観察中の変化であり、温度変化と精液所見の改善との因果関係については慎重な解釈が必要であると考察しています。

※本研究は症例報告(2例)であり、因果関係を示すものではありません。

精索静脈瘤のグレード別の治療と選択肢

精索静脈瘤は触診や視診によって3つの段階に分類されます。

グレード1 ― 腹圧をかけたときにのみ触れる

グレード2 ― 腹圧をかけなくても触れる

グレード3 ― 陰嚢の表面を視診でも確認できる

治療方針は、グレード評価に加えて超音波検査や精液検査の結果を総合的に判断して決定されます。

精索静脈瘤の手術で改善が期待できるケース

グレード2・3では、手術(精索静脈瘤手術)により精液所見の改善が認められることが多いです。

一方、グレード1では手術を行っても精液所見の改善が認められないことが多く、手術適応とならないケースがほとんどです。

また、グレード2・3で手術を受けた場合でも、すべての方で十分な改善が得られるわけではありません。

手術の適応にならなかった方、手術後に改善が不十分な方にとって、次にどのような選択肢があるか ― ここで鍼灸の役割が期待されています。

精索静脈瘤に対する鍼灸の効果 ― 精巣血流へのアプローチ

鍼灸による精巣血流の増加を検証した研究があります。

鍼灸による精巣血流の増加(研究結果)

腹部の特定の経穴(帰来・ST29)に10Hzの電気鍼刺激を行うことで、精巣動脈の血流が有意に増加することが確認されました。

精索静脈瘤に対する鍼灸の意義

この研究は健常男性を対象としたものであり、鍼灸が精索静脈瘤そのものを改善することを示した研究ではありません。

しかし、精索静脈瘤では血液の循環が滞ることで精巣周囲の温度が上昇し、「熱ストレス」が造精機能低下の一因となっています。鍼灸により精巣周囲の血流を改善させることが、この熱ストレスの軽減につながると期待されます。

鍼灸は身体への負担が少ない方法で精巣の血流環境にアプローチできるため、手術との併用や、手術適応外の場合の選択肢として考えられます。

研究の詳細:鍼灸による精巣血流への影響

研究の概要

精索静脈瘤における造精機能低下の一因である「精巣周囲の血流障害」に着目し、腹部への電気鍼が精巣血流に与える影響を検討した研究です。

研究者:Yusuf Ozgur Cakmak ら 掲載誌:Fertil Steril. 2008 Nov;90(5):1732-8. DOI: 10.1016/j.fertnstert.2007.08.013. Epub 2008 Feb 20.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18076881/

対象と方法

健常男性を対象に、腹部の経穴へ電気鍼刺激を行い、精巣動脈血流の変化をカラードップラーで評価しました。

被験者は以下の4群に分けられました。

  • 帰来(ST29)単刺鍼
  • 帰来(ST29)+ 電気鍼 2Hz
  • 帰来(ST29)+ 電気鍼 10Hz
  • 天枢(ST25)+ 電気鍼 10Hz

結果 帰来(ST29)への10Hz電気鍼刺激のみで、精巣動脈血流の有意な増加が認められました。他の3条件では有意な変化は認められませんでした。

SR鍼灸の男性不妊治療 ― 精液所見の改善データ

当院では、上記のような研究結果やこれまでの臨床経験、総院長が大学で行った研究結果を踏まえ、精子が造られる期間(約3ヶ月)を一つの目安として治療計画をご提案しています。

SR鍼灸の男性不妊治療における実績のグラフ

当院の鍼灸を行うことで、精巣血流の増加・精巣の血液循環を改善させる効果が確認されています。また、前立腺機能や性機能の向上も期待できます。

精索静脈瘤でお悩みの方へ|グレード1・手術後の改善例

当院ではこれまで、以下のようなケースで精液所見の改善が認められています。

グレード1で手術適応とならなかった方 漢方薬などを服用しても精液所見に変化が認められなかった方が、鍼灸治療により改善を示しています。

グレード2・3で手術後に改善が不十分だった方 手術を行ったが精液所見に変化がない、あるいは改善率が低い方でも、鍼灸で良い効果が認められています。

手術直後からの鍼灸 精索静脈瘤の手術直後から鍼灸を併用することで、精液所見の早期改善が期待されます。

まとめ|精索静脈瘤の治療に鍼灸という選択肢

精索静脈瘤は男性不妊の原因として頻度が高い疾患ですが、グレードによっては手術の適応にならない場合や、手術後に十分な改善が得られない場合もあります。

鍼灸による精巣血流の増加は研究で確認されており、熱ストレスの軽減を通じた造精機能の改善が期待されています。当院でも、手術適応外の方や手術後に改善が見られなかった方で、精液所見の改善が認められています。

精子が造られるまでには約3ヶ月かかるため、まずは3ヶ月間の治療を目安にご提案しています。

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