卵子の質の低下の原因は酸化ストレス?着床率を上げる方法とは

こんにちは。大阪の不妊治療専門鍼灸院【SR鍼灸】です。

当院には、体外受精(ART)にステップアップして採卵や移植を繰り返してもなかなか結果が出ない、先進的な検査を受けても原因が分からないといった方がご来院され、「卵子の質」に関する悩みをお伺いする機会が多いです。

卵子の質の低下を引き起こす要因として注目されているのが 「酸化ストレス」 です。

卵子を守り、質を維持していくためには、過剰な活性酸素を抑え、身体の抗酸化力を高めていくことがとても大切になります。

この記事では、卵胞液中の酸化ストレスと卵子の質の関係を調べた研究を参考に、酸化ストレスが受精率・胚盤胞の発育にどのように影響するのか、そのメカニズムを詳しくご説明いたします。

採卵結果にお悩みの方や、卵子の質の低下を防ぎたい方にとって、具体的な改善アプローチを知ることができる内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。

目次

卵胞液中の酸化ストレスと卵子の質の関係を示した研究

卵胞液中の酸化ストレスが卵子の質にどう影響するのか、体外受精(ART)を受けている方を対象とした研究をご紹介します。

研究者:寺尾 宏美
掲載誌:東京大学学術機関リポジトリ
研究期間:2016年6月〜2018年12月
doi:https://doi.org/10.15083/0002005104

研究対象者

  • 2016年〜2018年にART(体外受精)を受けた124名の女性(平均年齢38.49±4.39)
  • 採卵709個のうち、211個の卵胞液を分析
    ※正確に評価するために、2つ以上の卵胞を穿刺したものや、血液や卵巣嚢腫の内用液が混入した卵胞液は除外
  • 卵胞液中の「酸化ストレス」と「抗酸化力」を測定し、受精や胚発育との関係を検討

治療方法

卵巣刺激により18mm以上の卵胞を採卵し、受精方法はすべて顕微授精(ICSI)

研究結果|酸化ストレスが低いほど、正常授精・良好胚獲得率ともに明確な差

酸化ストレスの指標を評価する d-ROMsテスト
全卵胞液の平均値:412.49±118.61 U. CARR

ポイント:値が低いほど酸化ストレスが少ない状態


抗酸化力の指標である BAPテスト
全卵胞液の平均値:2542.36±636.72μ mol/L

ポイント:高いほど抗酸化力が強い状態

受精状態

顕微授精(ICSI)後17〜20時間で受精の状態を確認し、2つの前核(2PN)を認めたものを正 常受精としました。

https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/2005104/file_details/A37219.pdf

正常な受精群
377.16±88.37 U. CARR(d-ROMs)

異常な受精群
503.60±116.59 U. CARR(d-ROMs)

BAPに有意差は認めませんでした。

初期胚の状態

初期胚(3日目)の評価時に、7細胞以上でグレードをVeeck分類に基づいてグレード1〜3を良好胚とし、グレード4〜5を不良胚と分類しました。

https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/2005104/file_details/A37219.pdf

良好胚(グレード1〜3)
377.32±86.14 U.CARR(d-ROMs)
2480.42±542.41μmol/ L(BAP)

不良胚(グレード4,5)
427.88±116.75 U.CARR(d-ROMs) 2176.13 ± 509.23μmol/ L(BAP)

胚盤胞の状態

https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/2005104/file_details/A37219.pdf

良好胚盤胞(3BB以上)
357.60 ± 70.82 U.CARR(d-ROMs)
2789.00 ± 505.45μmol/ L(BAP)

不良胚盤胞(3BB以下)
415.54 ± 114.96 U.CARR(d-ROMs)
2248.25±476.17μmol/ L(BAP)

特に注目すべきポイント
  • 酸化ストレスの指標が低いほど、正常受精率や良好初期胚・良好胚盤胞の獲得率が上昇
  • 抗酸化力が高いほど、良好胚の獲得率が上昇

卵子の質低下を防ぐ|酸化ストレスを抑えるためにできること

卵の質を守り妊娠しやすい体を目指すため、日常生活で意識することをご紹介します。

ビタミンA・E・C

抗酸化力が高く酸化ストレスを抑えるのに重要です。また、ビタミンEは子宮内の血液循環を良くし、内膜が肥厚しやすい環境を整えてくれます。

内膜が厚くなりにくい方はこちらの記事もご覧ください。

コエンザイムQ10

体内のミトコンドリアでエネルギーをつくるために欠かせない栄養素です。

さらに、細胞膜やミトコンドリアを酸化ストレスから守る「抗酸化作用」も兼ね備えていますが、加齢とともに体内量が減少するため、サプリメントや食事で意識的に補うことが推奨されています。

メラトニン

「睡眠ホルモン」として有名ですが、実は強力な抗酸化作用も持っています。

メラトニンは活性酸素種(ROS)に直接作用し、特に細胞傷害性の高いヒドロキシルラジカル(・OH)を除去する働きがあり、卵子を酸化ストレスから守ってくれます。

※サプリでメラトニンを補う方法もありますが、日本では医薬品扱いで自由に購入できないため、服用の際は医師にご相談ください。

サプリ以外でも普段の生活習慣を整えて自然に分泌を促すことも可能です

睡眠とメラトニン

就寝前のブルーライトを避けましょう。

就寝1時間前のスマホやPCのブルーライトはメラトニンの分泌を妨げる可能性があります。就寝前は、できる限り画面を見ないように心掛けてください。

また、夜間(就寝中など)に光を浴びると、メラトニンの分泌が著しく減少することも報告されているため、真っ暗な部屋で睡眠をとることが重要です。 起床時は自然光を浴びて明るい環境で過ごすことが夜のメラトニン分泌を高めます。

鍼灸が酸化ストレスを軽減させる可能性

近年の研究で、鍼灸治療が抗酸化酵素(SOD、CAT、GSHなど)の活性を高め、酸化ストレスを軽減する可能性が報告されています

鍼灸の抗ストレス作用

多くの方が不妊治療と仕事を両立されているため、時間の調整など多くのストレスを抱えている場合が多いです。卵胞液中の酸化ストレスのみでなく、体のストレス値が高くなると自律神経の乱れが生じることで臓器機能が低下します。

鍼灸治療は様々な研究で抗ストレス作用が認められているため、当院も毎回ストレス反応を和らげる治療を行います。

まとめ

今回ご紹介した研究から、卵胞内の酸化ストレスが低いほど正常受精率や良好胚獲得率が高まることが示されました。また、抗酸化力は高いほど良好胚獲得率が向上する可能性が考えられます。

ぜひ今回の記事を参考に、日々の食生活や生活習慣で酸化ストレスを抑えるものを取り入れてみてください。

もちろん、当院でも鍼灸治療や生活改善のご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

卵子の質でお悩みのあなたへ

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